「ボキボキしない、ソフトな」カイロプラクティックについて

こんにちは、松村です。

当院はカイロプラクティックの施術院です。
国内には、カイロプラクティックの名前を掲げる店が約3万あるといわれています。
カイロプラクティックは本来、基礎科学の上に解剖生理学、医学的基礎知識、施術技能の習得に多くの時間を要する、教育基準が確立された職業です。
残念ながら日本には法整備もそしてその社会的認知もないことから、そういった教育がなくてもカイロプラクティックを名乗ることができるのが現状です。ですので3万のうち正規の教育を受けた方が在籍するのは3~4%程度であるともいわれています。

先日、当院HPを作成するにあたってどうすればわかりやすくかつ有用なHPとなるかを自分なりに考えようと、いろいろなカイロプラクティック施術院のHPを拝見しました。それらは、正規のカイロプラクターが在籍している院やそうではないところも含みます。

見ていると、自分たちは「ボキボキと骨をならす」ような「危険」な施術はせず、負担のないソフトな施術をしています、といった意味の説明をしている院が多くみうけられました。

カイロプラクティックは創始されて約100年です。そしてその哲学、科学、技術は大きく変化してきております。そして、それは社会の中でカイロプラクティックが自身の専門技能や意義の理解をもとめようと、説明と自己改革を繰り返した結果です。

なので、上記のような文言が、どういった状況に対するものなのかを自分なりに考えてみました。

カイロプラクティックは関節の可動域を回復するために、「アジャストメント」といった技術を使用します。
これは、制限のある関節に対して制限域から本来可動可能な域に向かってごく短い時間で物理的な力を加えることで、その制限をとり除くものです。
その実施中に、骨と骨をつなぎ潤滑液を包む役割をする「関節包」内で一瞬減圧された液体が気化する際の振動が、「ボキ」という音の実態だといわれています。つまり、音がなっているのは「骨」そのものではありませんし、もちろん骨がこわれているわけではありませんので「危険」ということもありません。危険なのは「教育されていないため、適切な力や方向を考えず力任せに「ボキボキ」音をならすことを施術(サービス)として顧客に提供している人間」ということになります。そういった人間は、本来の「アジャストメント」の意図や方法を知らないため、捻挫や挫傷を引き起こす確率が高くなります。現状、法整備されていない日本のカイロプラクティック環境の中では、当然そういった問題が多く発生し、結果的に「ボキボキ」=「危険」という認知が社会一般の理解につながっているのだと思います。

施術は人が人に対してするものですので絶対はありません。だからこそリスクを最小限にするための知識と技能の習得が必要です。なので、本来であれば、実際の「アジャストメント」の効果とメカニズムの説明およびリスクを最小にした技術こそ、カイロプラクティックが提供すべき「アジャストメント」というサービスの全体像であるべきです。

そしてその上で、患者様の感情面を考慮し、「アジャストメント」の代替案を提示するのであれば、それは結構なことだと考えます。そしてそれは得られる変化の違いがトレードオフとして出ますのでその説明も必要と考えます。この点もいろいろ議論はありますが、それも上記の基本をふまえた上での話になるはずです。

おそらく、「ソフト」な「カイロプラクティック施術」という言葉は、現状の法の未整備によるカイロプラクティック全体の技術品質、カイロプラクティック自身の説明力の問題を背景とした「うたい文句」なのだと思います。

ここからは個人の意見となりますのでご了承ください。
カイロプラクティックは背骨を中心とした関節の不調にアプローチすることに最も長けている職業と考えます。そしてその技術は、間接的に筋骨格系の多くの部分や神経系への刺激となり健康全般へ良い影響を与えるものと信じております。

人間は身体は「こころ」と「からだ」が一体となったものですから、「こころ」の面を重視した施術も「からだ」を重視した施術もともに存在します。
ですので、ある人に対する施術において「こころ」の面を重視して、カイロプラクティックの技術を選択しないということは十分ありうる話だと思います。
ただカイロプラクティックの技術を利用することにおいて、「からだ」へのアプローチをしませんというのであればそれは矛盾のように私には思えます。
恐怖感がでないように工夫したカイロプラクティックの技術でしっかり「からだ」にアプローチします、ということではなく「毒にも薬にもならない」ものを提供するのであれば、有名な美容整形の院長の方がおっしゃったように、それは「おまじない」だと思います。

「毒にもなりうるものを薬とすべく技術を修練すること」がこの職のモラルです。

脳外科手術には頭蓋骨を鋸で一部取り外し、脳を包む膜を開いて脳にアプローチするものもありますが、その手術に対して「頭を開くから危険」なので「手術しない」という結論が、なんの脈絡もなくなされるはずはないと思います。技術のある医師とスタッフがしっかりとした環境でリスクマネジメントをして問題に対処する、そしてその説明が患者になされるはずです。

医師による手術とは比べるべくもありませんが、論理だては同じだとおもいます。なので、私もできうる限り自分の施術が、何を目的にどのようなメカニズムを意図した手技を選択しているのか、といったことを誠実にお話し、その上で患者様の理解を得るよう努力をしたいと考えます。

かなり長文になってしまいました。「説明はいいから結果を」という向きもありますが、当院の施術にかんする考え方でもありますので、書いてみました。さてその上で、当院なりのうたい文句を考えてみました。

『当院では、施術の方法や進め方についてできる限り詳しくご説明しております。その上でもし、ご不安があればボキボキしないソフトな施術をお申し付けくださいませ。』

どうでしょう、まったくもってスマートではないので採用保留でしょうか、失礼しました。

まつむら