一週間前、起床時に左のお尻からふくらはぎにかけて足の後面に強い痛みが続いている。整形外科でX線をとったが異状が見当たらない。整体や鍼をうけるも改善が見られないため来院。
症状: 立位、歩行時の左下肢の後面の痛みとしびれ。
直接原因: ハムストリング、下腿三頭筋の過度の緊張
根本原因: 左股関節における大腿骨の前方変位
施術: 左股関節へのカイロプラクティックアジャストメント
経過: 来院当日、一回の施術で痛みしびれともに消失
発症にいたる経緯や契機がない場合は、器質的な疾患(大腿骨頭の病変など)が疑われるため注意が必要です。今回ご来院された方の場合、すでに医療機関にかかっていることや既往などから疑わしいものがないため、検査によって筋骨格系の状態を把握することにつとめました。
SLRテストでは30度以下で痛み誘発されており、硬膜外で問題が示唆されました。しびれは感覚の脱失はなく、筋力低下はみられませんでした。触診では左下肢の筋に弱い緊張が全般的にみられ、安静時にも違和感を感じられているようでした。
左の股関節は明確な可動制限は見られませんでしたが、大腿骨頭が右にくらべてわずかに前方変位がみられ、後方への圧力をかけた状態でSLRテストにおける症状の軽減と筋の全般的過緊張が緩和がみられました。関節のおいて脱臼、亜脱臼など明確な逸脱ではなく、わずかな位置不正が常態化すると周囲の筋の過緊張と異常な感覚をおこす場合があります。その感覚は明確であるにも関わらず、画像や筋力テストで所見がとれるものではないため、当事者が不安を覚えやすい状態になります。
施術としては、左股関節にたいしてドロップテーブルでのアジャスト、緊張状態が長く継続していた筋(大腰筋、大腿四頭筋、ハムストリング等)にたいして虚血圧迫による緩和をまず行いました。
当日1回の施術で痛みとしびれは消失しました。客観的な可動性やSLRテストで再確認し、すべて陰性であったため、数日様子をみていただくよう指示いたしました。
医療機関での診断がつかず、筋自体の問題でない場合、カイロプラクティックが有効である場合があります。今回のケースはそのケースに該当しており、関節のわずかな位置不正による周囲の筋肉の広範な過緊張と明確な痛み、違和感は臨床上よく遭遇するものです。クライアントご自身の体調や筋肉や関節の全般的な健康度が高かったため、問題箇所が目立っていたことも幸いしました。