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運動した後にしばらく時間がたってから腰が痛くなってきた

自営業 40代 男性
ブラジリアン柔術のクラスを受けた後、しばらくしてから腰が痛くなった。脇腹も痛いこと気づき、身体を起こしたり、捻ることができない。肋骨を押すと痛いので、もしかしたら骨折してるかもしれない。

クラス中、比較的負荷の高いスパーリングが多かったが、特に強い衝撃を受けた覚えはない。クラス直後も疲れはしたが痛みを感じなかったとのこと。数時間後、気づけば腰が痛くなっていて、最初左の腰だけだったが、今は肋骨周辺の痛みが強い。

外傷の可能性があるので、発症契機と痛みの箇所、動作による再現をしっかり行いました。
検査してみると、左肋骨の10、11番の前側に圧痛があり、左回旋、屈曲時の動作時痛もあるので、外傷が疑われました。ただ肋骨の骨折、ひび、打撲にたいしての医療機関での一般的処置を予想すると、その範囲を侵さないケアを現時点でしっかりやっておくべきと考えました。

内腹斜筋と外腹斜筋の走行

(左) 外腹斜筋の走行 (右)内腹斜筋の走行 坂井建雄 松村譲児 (2007). プロメテウス解剖学アトラス 医学書院 より

本症状が外傷以外に起因するとした場合「腹筋の強い収縮による肋骨の過度なけん引」というものも考えられます。腹筋は肋骨から恥骨、骨盤の大半にわたって付着する大きな筋肉です。構造も腹直筋、腹斜筋、腹横筋と多層になっており、作用として複雑です。いかに小さくても、意図しない過剰な収縮(つったような状態)が発生すると、予想外の症状を起こします。
第10肋骨から骨盤方向に過緊張がある腹斜筋の筋繊維が見つかったので、柔術の練習中、体幹をしめながら回旋もしくは回旋に抵抗した時に、筋肉が負荷限界を超え、腹斜筋の筋スパズムが起こったと考えました。腹斜筋は、梃子の力がかかりやすい11番、10番肋骨の先端にもつく筋なので、肋骨にかかる応力が大きくなり、その痛みによって起立筋、腰方形筋の機能低下を併発したと考えました。

施術としては、肋骨から離れた場所で、スパズムを起こしている筋肉のリリースを行えば、外傷であった場合も症状を悪化させる可能性は少ないと考えられます。施術は、比較的穏やかに筋肉をリラックスさせるMET(マッスルエナジーテクニック)で行いました。

結果、施術直後の肋骨の圧痛はレベル10から5程度に下がり、翌日には日常生活において脇腹の痛みや腰痛がでることはありませんでした

お察しのことかと思いますが、本ケースは私自身の症状でした。腰痛と脇腹の痛みがひどくなった時は、当日ご予約いただいているクライアントのことを思い、一瞬目の前が暗くなりました。しかし、受傷時点の認識がないのでなんとか、落ち着いて自己確認を行うことができました。以前肋骨を痛めて腹筋の機能不全を経験したので、そちらの可能性を大きく感じましたが、筋肉へのアプローチで施術効果が早くでたので、ほっとした次第です。

年甲斐もなく、練習でがんばり過ぎた報いです。今後は気を付けるとともに、同じような症状に困った方がいればこの経験を役立てるしかないと思います「やってしまった」という自覚がないのに、運動後強めの腰痛や肋骨痛に見まわれたら、ご連絡ください

本ケースをまとめると以下のようになります。

症状: 肋骨痛、腹筋の機能低下による腰痛
直接原因 : 腹斜筋の筋スパズム
施術: 腹斜筋の神経的なリリース
根本原因: としがいもなく無理な力で練習をした無分別