院内の衛生管理について

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立ちっぱなしの時間が長くなると腰が痛い

会社員 40代 女性
普段販売の仕事をしていて、立ちっぱなしの時間が長くなると腰が痛くなってくる。数年前から忙しい時期に頻繁に同じような痛みが起こり、最近強くなってきた。首肩も凝ることがあり、足がはることも多い。

現場から管理まで幅広く業務をこなす非常に多忙な方でした。顧客対応をされる方々にとって何をするにも痛む腰は、サービス品質を損なうとてもやっかいな問題です。安全を念頭に置きつつできるだけ早く症状を軽減する必要性を感じました。

検査すると整形外科、神経学検査はいずれも陰性でしたが、いわゆる「骨盤のゆがみ」と左右の足の筋力にアンバランスがみられました。また腰の反りが強く、体幹の屈曲制限と伸展時痛。エリーテスト陽性、前脛骨筋にトリガーポイント、下腿三頭筋に過緊張がありました。膝関節、足関節伸展の筋肉が過緊張することで骨盤が過剰な前傾傾向にあり姿勢を良くしようとすればするほど椎間関節がつまったような状態になって痛みがでているのではないかと考えました。

骨盤の前傾と筋肉の緊張の関連

坂井建雄 (2007). プロメテウス解剖学アトラス 医学書院より 骨盤の前傾と筋肉の緊張の関連(色付きの筋肉が過緊張している)

前後方向の重心バランスは良くも悪くもその方がもっている姿勢の基礎ですので、施術による変化を無理に起こそうとせず、お履き物や姿勢指導により自ら変化をおこすことができれば良いと思います。施術は、それが可能となる環境づくりという位置づけになります。具体的には、大腿四頭筋や下腿三頭筋のリリースでその時の痛みを低減させつつ、腹筋や胸筋のアクティブケアや靴の高さを変えるなどご自身の力で勤務時の辛さを減少できることを説明し、少し意識していただきました。結果、週1回のケアを続ける一か月の間で勤務中に腰痛や肩こりを自覚することはほぼなくなりました。現在は、定期的なチェックと再発予防のケアに来院されています。

立ち仕事をされる方の場合、座り仕事の方より局所の筋肉、筋膜が問題を引き起こす事が少なく、姿勢や動作の大局的なバランスの調整が必要であることが多いと感じます。また仕事で常時身体運動をしていることから筋骨格の自己調整機能も働きやすく、症状の軽減までの時間も短いように思います。少々なにかあってもなんとかなってしまうのでしょうか、あまりカイロプラクティックに来院される方が少ないので、本症例は私としても気づきが多いものとなりました。

本ケースを以下にまとめます。

症状: 立ち時間が長くなると腰が痛い
直接原因 : 大腿四頭筋の過緊張による骨盤の前傾(反り腰)
施術: 腰仙・仙腸関節の調整および下肢筋のリリース
根本原因: 不良姿勢を助長する靴などの勤務環境