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働きはじめてからずっとある慢性的な肩こりが最近ひどくなってきた

会社員 30代 女性
慢性的に肩こりには悩まされていたが、最近業務範囲が増えたこともあり、より強くコリを感じるようになってきた。普段、営業の仕事で飛び回る毎日で車の運転が長時間に及ぶことも多い。プライベートでは、セルフストレッチやヨガにも通っているが良くなってこない。マッサージは楽になるが次の日には戻ってしまうので、カイロプラクティックはどうかと思ってきた。

お仕事のスタイルは、デスクワーク一辺倒ではなく出張等、活動的な面があり、プライベートでも運動習慣がしっかりおありなので、訴えられている症状とヒヤリング内容とのギャップが大きいように感じました。「最近ひどくなってきた」ということですので、「慢性的な肩こり」という言葉にこだわらないよう意識しました。

検査すると、下部頸椎~中部胸椎および肋椎関節の可動性が低下しており、頸部の筋、特に斜角筋に過度な緊張がみられた。深呼吸時には、お腹がふくらむのではなく逆にひっこむ、いわゆる「奇異呼吸」もみられた。

病歴等のヒヤリングの内容とあわせ、まずは中部胸椎の運動性低下と交感神経活動の影響が必要以上に継続していることによる複合的な問題ではないかと思いました。

末梢神経は、自身の意思に関連して機能する体性神経系と意志と関係なく機能する自律神経系の2系統にわかれます。さらに自律神経系は「活動するための交感神経系」、「休息するための副交感神経系」が相補的に機能し、生命活動を意識下で支えます。

自律神経は生存のために闘う、あるいは逃げるといった身体活動行うために血管や筋肉など体内の状態を調整します。またエネルギー産生のための呼吸運動も活発化します。

この方は胸椎の動きが低下しており十分な胸郭な広がりができない状態で、業務増加によるストレス下の交感神経優位の状態から呼吸運動の活発化の影響で斜角筋などの呼吸補助筋を過度に使用している可能性がありました。

斜角筋

坂井建雄 (2007). プロメテウス解剖学アトラス 医学書院より 斜角筋の走行

施術は、胸椎および肋骨の可動性回復を中心としたカイロプラクティックケアおよび呼吸法を含むストレスマネジメントに役立つTIPSをいくつか試してもらいました。

結果、週一回の施術を5回を数えるころには、業務中に肩こりが意識に上ることはほぼなくなったとのこと。胸郭の動きに制限は残るものの、当初見られた奇異呼吸や過剰な斜角筋の緊張も消失しておりました。

運動習慣があり、ヨガやウォーキングをしっかりされる方なので、問題点を理解された上で、それらを意識しながら日々の運動をこなすことで早々に改善むかわれたようです。逆に考えると運動習慣があっても問題点を理解できなければ、症状が続いてしまうということかもしれません。

他からのチェックを受けるということは、自分の身体を適切に維持するには重要なことです。カイロプラクティックをその役に選択いただくことは、人生の長期的な観点から利益のあるものだと思います。

本ケースを以下にまとめます。

症状: 慢性的な肩こりがひどくなってきた
直接原因 : 斜角筋の過緊張
施術: 胸椎、肋骨の関節マニピュレーションと呼吸法の指導
根本原因: 胸郭周辺の運動意識の低下およびストレス反応の意図しない継続