肩こりからくる頭痛

自営業(デスクワーク) 30代
最近デスクワークが長時間化してから、肩こりが強くなりひどい時に首と頭が痛くなる。以前整体院で「カイロプラクティックコース」を定期的にうけていたが合わず、ここ数日頭痛が強いため来院した。
当院のマネジメント
症状: 肩こりに伴う頭痛
直接原因: 頸部深部脊柱起立筋(棘筋)の過度の緊張
根本原因: 上部胸椎と上部頸椎の可動性低下
施術: 上記脊柱分節へのマニピュレーション

現在の症状に対して、整体の施術利用歴が長くかつ良くならなかったというお話を聞いた場合は施術の内容や経緯をお聞きするようにしています。

現在の症状が一般的な筋骨格系の機能低下によるものではない、つまり疾病など適応外のものといままでの施術結果によるものである可能性に特に留意する必要があるためです。

頭痛自体は激烈なものでなく、視覚上の問題や悪心などないためお話を聞くかぎりでは緊張性頭痛に類するように思われました。

検査をすると、上部胸椎の可動性低下と頸椎の可動性亢進が顕著にみられました。体幹の筋肉の状態や四肢の関節の可動性は良好なので、頸部の可動性亢進が頭部安定化のため胸鎖乳突筋、上部僧帽筋を過度に緊張させ、関連痛としての頭痛を併発していると考えました。

施術方針としては、可動性が亢進をしている頸部の関節調整は控え、可動性が低下している上部胸椎を中心とした脊柱の関節調整と周囲の筋へのリリースをまず行いました。

来院3回(週1回頻度)で来院時の痛みは消失しましたが気圧の変化に起因する頭痛はその後も継続しました。月1回に頻度をおとしながら施術を継続し半年、上部胸椎の可動性が回復し頸椎の過可動性が落ち着きはじめると上部頸椎周辺の深部筋の過緊張が明確になってきました。その時点であらためて上部頸椎への関節調整と周辺筋のケアを行ったところ、繰り返す頭痛はほぼ消失しました。

坂井建雄 (2007). プロメテウス解剖学アトラス 医学書院より 頭椎関節筋群

いわゆる「カイロプラクティックコース」ではない正規のカイロプラクティックによるケアは、一般的に症状がある部位であっても可動性が亢進している関節への調整は行いません。機能的に関連する部位で可動性が低下している所を改善できれば、結果として問題箇所に「正しい評価ができる状態」が現れます。その時に適切な調整をすることが症状が解消される可能性を高めると思われます。しかしながら、それまでは症状のない箇所で検知できる問題をひとつひとつ地道に対処していく必要があり、患者様には辛い期間となります。その期間をいかに短く計画的に済ますことができるかが、カイロプラクティックのサービスが質を問われるところかと思います。残念ながら本件では比較的その期間が長く負担をおかけしました。