肩が挙がらないのはなぜ?
突然肩が”あれ?あがらない”もしくはあげようとすると痛い。加齢とともにそういったことを経験すると日本ではだいたい「四十肩」「五十肩」という言葉が思い浮かびます。
五十肩とは、疾患名ではなくその年代に突発的に起こる肩の動きづらさや痛みを指す一般呼称です。その中でも原因があきらかなものは腱板損傷やインピンジメント症候群、肩峰下滑液包炎、石灰性腱板炎などの名称がつきます。肩関節は複雑な動きをするために4つの関節と多数の筋肉によって構成される繊細な部位です。それらのバランスを少しでも欠いた状態で肩を使い続けると、負担がかかった筋肉や腱が傷つき炎症と石灰化が繰り返されることになります。その繰り返しにより痛みと可動制限が顕著になったものが五十肩、四十肩とよばれる状態と考えられます。
注意すべき症状
いわゆる五十肩、四十肩は一般的にはカイロプラクティックの適応症ですが、お困りの症状が違う原因によってひきおこされている可能性を確認する必要があります。また五十肩であった場合でも、具体的な損傷箇所の見きわめや炎症が強い時期などは施術をみあわせる必要があるので注意が必要です。
- 明確な受傷のきっかけがあるか
- 発症年齢と経過
- 安静時痛と動作時痛の有無と傾向
- 熱感の有無
もっとも注意すべきは外傷です。また炎症が強い時期は、当該箇所へのカイロプラクティック施術を控える必要があります。
カイロプラクティックの五十肩、四十肩への対処
カイロプラクティックの施術は症状を出している組織とそこに負担をかけている状況の二つにアプローチします。五十肩の場合、症状が始まってからの期間が長い程、肩まわりの特定の筋ではなく肩甲骨、胸周囲の筋肉にまで拘縮が広がっている場合が多く、そのため前者へのアプローチは表面から順にすすめて肩関節に近い筋肉まですべてにおよびます。重要なことは再発の防止ですが、この場合の問題は主に肩甲骨の可動性低下によるものです。座位の不良姿勢(背がまるく首が前に肩が前に巻き込んだ状態)の持続は、胸筋の拘縮と背部の筋肉の機能低下をおこします。その状態で腕を使うと肩甲骨は十分に動かず、肩関節にのみ負担がかかります。本来肩甲骨をふくめて大きく動くことで局所の負担を軽減できる肩の構造は機能せず、肩甲上腕関節付近の小さく繊細な筋肉に繰り返し負担をかける結果となります。それにより肩甲骨周辺の背骨の可動性と配列を改善し肩甲骨の動きを制限する筋筋膜のケアを根本的な問題の改善として行っていく必要があります。
肩が挙がらない、痛い方へ
五十肩は発症と寛解をくりかえし次第に肩の可動制限を強めていきます。そのサイクルが多ければ多いほど関節の周りの組織は拘縮は進み、改善のための施術に伴う痛みも大きくなる傾向があります。またご自宅でのセルフケアも必要になる場合もあるでしょう。改善は根気のいるものになりますが継続することで兆しは見えてきますのであきらめずに一緒に取り組んでいきましょう。