膝・股関節痛の種類
下肢の痛みは、関節周辺の訴えが大半です。下肢は負荷が常にかかる場所ですので実際の状態以上に症状を強く感じます。そのため座れない、歩くのがつらいといったような日常生活に支障をきたしている場合が多くあります。
関節の疾患の主なものは変形性関節症です。膝関節症の場合は罹患が約800万人、ロコモティブシンドロームの代表的な原因といわれています。
変形性関節症は、多因子疾患とよばれており全身や局所の複数の誘因で発症します。またその他の疾患につづいて発症する二次性のものあるため発症の背景について知るための外傷歴、病歴等を丁寧にさかのぼることが重要です。
二次性の変形性関節症の主な誘因
- 外傷
- 職業やスポーツによる慢性的な負荷
- リウマチ、骨壊死などの関節疾患
- その他疾患 痛風、糖尿病、副甲状腺機能亢進症 など
下肢の関節痛のメカニズム
上半身の重みは腰部から骨盤を通って分かれて二つの足に分担されます。背骨は多くの椎骨とその間にあるクッション(椎間板)によって衝撃を吸収しますが、足は股関節膝関節、足関節といった少数の大きな関節とそのまわりの筋や腱で衝撃を吸収します。
そのため、片方のどちらかの足になんらかの問題が発生するとすぐにもう片方の足に負担しきれない力がかかり構造に破綻をきたします。そうならないように足をひきずるなど運動パターンを変えて物理的な負荷を分散させるといった調節が行われます。ただしその状態が長く続くと調節する仕組みそのものが破綻し、さまざまな症状が一度に表面化することになります。
注意すべき点
下肢の痛みは多くの場合、酷使と損傷によっておこるため問診によってすぐに状態を把握することができます。それら以外に注意すべきは感染などによる炎症性疾患や末梢循環、神経学的な異常であり、その観点から以下の徴候については確認が必要です。
- 突然の強い疼痛
- 冷感の有無、蒼白、脈拍の欠落
- 呼吸困難、胸痛や冷汗
- ショック、頻脈など全身性の徴候
- 神経脱落症状
- 局所の発赤、熱感、腫脹
- 夜間痛
上記の症状がないか、または症状について医療機関へ相談済みの場合はカイロプラクティックの観点から施術の検討をします。
カイロプラクティックによるアプローチ
膝は外傷やオーバーユースで炎症をおこしていることが多く、直接痛みがでている箇所にアプローチしないことがあります。その場合は、負荷がかたよった原因となる腰部骨盤まわりのアンバランスの調整と痛みの周辺の筋筋膜の状態の改善を行い負荷を軽減していきます。具体的には殿筋、大腿筋膜張筋、ハムストリングなどが揚げられます。
下肢の関節が痛い方へ
患った時間が長いほど筋肉や関節の機能低下は著しいため、ケアのはじめは症状の改善が実感できない期間が続きます。身体のバランスが徐々に改善するとあるときから下肢の症状改善に進みが感じられるようになります。構造的な問題はカイロプラクティックで解消されませんが、バランスの改善は症状の軽減に大きく貢献するので、医療機関での治療と平行しても良いでしょう。