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手をつくと手首が痛い

マッサージセラピスト 30代 女性
数日前、背中の筋肉がとても固い男性顧客をマッサージした直後から、手をついて体重をかけると手首周辺に痛みがでるようになった。
手根骨の図

D.A.Neumann(2005). 筋骨格系のキネシオロジー 医歯薬出版株式会社

週末のみセラピストをされている、非常に細身の体格の方でした。発症は大柄な男性への施術直後だったとのことで、手首に過度な負担がかかったのはお話だけで十分理解できるものでした。

そのため外傷に類するものがないかという適応禁忌の判断と負担が一点に集中するような運動パターンがないか予防の観点に留意して検査しました。結果、症状は手根骨という手首にある小さな骨の集合のうち月状骨(上の図の赤枠内の骨)とよばれているものが可動する時に痛みを出すことが分かりました。この骨は8個からなる手根骨(指の付け根)のうちの一つです。その中でこの骨は、手首を曲げたり伸ばしたりする時に主に可動するものですが、その性質から、筋肉の腱などが付着しておらず外力によって動揺しやすい骨です。そのため強い力でマッサージした際にズレてしまったのではないかと判断しました。よって月状骨の制限方向へのマニュピレーションを実施したところ、手首の痛みはほぼ消失しました。

また予防の観点からマッサージ(特に押圧)時のフォームを確認したところ、手のひらを平らにして全体重を乗せている状態でした。症状は手根骨の負担により出たものですので、手首を締め、手根骨の強度を強めるようなフォームアドバイスもあわせてさせていただきました。

手はフレキシブルに動かせるよう繊細な構造であるため、足のように大きな力を支えるようにできていません。私たちカイロプラクター、マッサージ、整体師をふくめ手をつく動作が多い人は、手を保護するような使い方を身につける必要があります。施術に加え、身体の使い方ノウハウもお伝えできます。手首の痛みはこの症例の他にもとても多くの原因があり、悩みも人それぞれです。当院では安全を考慮しつつできる限り原因を究明いたしますので、違和感を感じたらご相談ください。いつでもお待ちしております。

本ケースを以下にまとめておきます。

症状: 手をつくと手首が痛い
直接原因 : 月状骨の位置不正
施術: ボードを利用した月状骨へのマニピュレーション
根本原因: 手掌のアーチを崩して手に体重をかける癖