不眠や疲れやすさの原因
不定愁訴とは、医療機関で検査しても明確な検査所見が得られない、変化しやすくとらえどころのない身体の不調をいいます。問題が見つからない以上医療機関では様子を見るということ以外の積極的な選択肢がない症状です。主な訴えは、「眠れない」「疲れやすい」「イライラする」「肩がこる」「全身がだるい」といったそれ自体は症状としてありながらも、場所やその内容について明確な表現ができないものばかりです。
カイロプラクティックは、医療機関で診断されない症状に対処することが多くありますが、肩こりや、腰が重いなど筋骨格系の症状が主だと考えられがちです。不眠や疲れやすさ、全身の倦怠感などは内臓系、神経系のなんらかの機能的な問題によってひきおこされている場合があり、それは自律神経活動のアンバランスが大きく影響しています。そして実はそれらの症状はカイロプラクティックの適応でもあります。
自律神経とは
人間の身体は生命を維持するために自身の内的環境を一定に保つ必要があります。そのために様々な器官系が共同することで発揮される恒常性維持機能をホメオスタシスと呼びます。ホメオスタシスは意識するしないに関わらず働く非常に高度な自動機能であると考えられます。
特にその機能の制御にかかわる器官系が内分泌系と神経系、特に自律神経系とよばれるものです。内分泌系は長い時間サイクル、自律神経系は短期的、瞬間的に反応を起こします。また自律神経系は交感神経と副交感神経の二つに分類されます。交感神経は闘争もしくは逃走時に働くものといわれており、いわばエネルギーを積極的に消費し身体を活動的にするはたらき、副交感神経は反対にエネルギーを蓄積し身体を休めるはたらきをする神経系統です。
自律神経のアンバランス
自律神経は、交感神経と副交感神経が環境に応じて適切に活動していなければなりません。都市生活においては、多くの方が業務時間が長く、IT機器による視覚的刺激などで交感神経が過剰になる傾向があります。交感神経が優位な状態が必要以上に持続すると、意識しないまま身体が興奮状態におかれているため、リラックスすべきときに神経や身体の緊張がとれず、末梢の血流の低下、消化機能の低下したまま日常生活が繰り返されることになります。
それはいずれホメオスタシスの破綻をきたし、不眠、イライラ、疲れやすいなどあらゆる場面において身体のパフォーマンスを低下させる結果となります。
カイロプラクティックによる自律神経にたいするアプローチ
生理学的な観点からみると筋肉は運動器であると同時に感覚器でもあります。つまり神経から緊張という命令をうけると同時に緊張という状態を神経につたえる働きもあるということになります。カイロプラクティックはその点に着目し、交感神経が優位に活動している場合に過緊張する筋肉を緩めることで、交感神経活動の低下を促します。
具体的には頚部の伸筋、肩関節内転筋群、股関節・膝関節屈筋群です。これらを中心に身体全体の筋肉の状態をリラックスさせることで自律神経活動を抑制し、間接的な不定愁訴の軽減を行います。
不眠、イライラ、疲れやすいなどでお困りの方へ
不定愁訴は症状の自覚があるにも関わらず医療機関で明確な治療が確定しないので精神的な面からも生活の質を大きく下げるものです。
ただし、できる限り症状やご自身の生活環境を注意深く思い起こすことでなんらかの解決方法は見つかる場合があります。自律神経活動のアンバランスもその要因のひとつですが、それ以外にも丁寧に症状の経過をたどることで傾向がつかめることが多いので、筋骨格系にかぎらずこういった症状をお持ちであれば一度ご相談ください。